住職の日記

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コラム「真宗で終活!」第1回

2025.07.27

これより、『ひとりふたり・・』(法蔵館発行)に2022年1月発行の161号より2024年9月発行の172号まで連載しておりました「真宗で終活!」をコラムとして掲載いたします。

 

よろしくお願いいたします。

 

ひとりふたり・・161

 

「真宗で終活!」第1回

 

「お寺で終活」

 

 このたび、「終活」をテーマに連載することとなりました。お寺での取り組みを含め、思うところを少しずつお話ししていきたいと思います。

 私がお預かりしている光明寺では、年に四回「終活セミナー」を開催しています。テーマは、相続・遺言・遺贈寄付・成年後見制度・家族信託・デジタル終活などと毎回替えて、専門の講師を招いてお話しいただいています。ただし、各回の初めには、私から「仏教の終活」というお話を必ずしており、住職のお話と外部講師の二部構成となっています。

 始めた当初は、ご門徒さんやご近所の方々がお寺に来て参加されていたのですが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大により、いまはご来寺いただく人数を減らして、WEB会議システム「Zoom」を使い、お寺とオンラインの「ハイブリッド型」で開催しています。

 まずは、なぜ私がお寺で「終活」を考えることを始めたのか、ということについてお話します。

 私は、三十五歳から十七年ほど、真宗大谷派の本山の職員をしていたのですが、そのうちの十四年は、東京都練馬区にある「東本願寺真宗会館」に勤めていました。そこでは、関東に山梨と長野を加えた一都八県をその業務対象範囲としていて、私の仕事は、教えを聞く場を共に創ってゆく、「人の誕生」と「場の創造」ということでした。多くのお寺にお伺いして、そこでたくさんの「人」と出あうという、たいへん有り難く、貴重なご縁をいただきました。

 その経験を通して、私は、「お寺はどういう場所なのか」ということを、その「場」と「人」から教えていただいたように感じています。

 光明寺は、もとは新潟県の上越市から出てきた方が説教所として建てられた、とても小さなお寺です。七年前に父が亡くなり、住職を継承してまず感じたことは、ご門徒さん方が仏事でしかお寺にお見えにならないということでした。年忌法要や盆・彼岸、永代経に報恩講、そしてご葬儀です。ご葬儀で「初めまして」ということも珍しくありません。

 宗門のお仕事を通して教わったことは、「お寺は地域コミュニティの場」であり、お寺という場所が、人々の日常の生活において大切な場所である、ということでした。そのような、地域の方々とお寺のつながりをたくさん拝見してきたのです。

 ですから私は、できることなら地域の方々の日常生活に関わりたいと思うようになりました。ご葬儀で「初めまして」ではなく、いのち終えていかれる前にお会いしたいし、お寺が、いまを生きる者にとって大切な場所である、と感じてほしいと思ったのです。

 「終活」という言葉は、二〇〇九年に雑誌の連載に使われた言葉で、その翌年以降「流行語大賞」にノミネートされるなど、広まってきました。最近、またブームとなっているようにも思います。

 でも、「終活」という言葉が生み出される前には、「終活」という言葉で表されるようなことは、お寺で日常的に語り合われていたことなのではなかったのかと思うのです。それが昭和の一時期、お寺が仏事偏重となり、人々の日常から離れていってしまったのではないかと感じています。

 もちろん、すべて住職が解決していたわけではないでしょう。生きる上で必要なことを情報交換し、専門家を紹介したり、一緒に考えたり、コミュニティが機能していたのだと思います。

 私は、できることなら、その「地域コミュニティの場としてのお寺」という機能を回復したいと願っているのです。

そして、「終活」を「死への準備」と受け止めるだけではなくて、お寺で仏の教えを聞くことを通して、お一人お一人が「死にゆくいのちをどう生きて往くのか」という問いをいただくことを大切にしたいのです。

 「いまを生きる」ということを日常生活レベルで共有する、そんな「終活」が語られるお寺でありたいと思っています。

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