10月の「お寺の掲示板」と、住職の感想
2022.10.10
10月の掲示板のことば
いのちは 本来
利他なのです
住職の感想です。
Official髭男dismというアーティストグループの楽曲に「アポトーシス」という歌があります。
僕は「アポトーシス」という言葉を初めて聞いたのですが、「プログラムされた細胞の死」ということなのだそうです。
例えば、オタマジャクシがカエルになるときに尻尾が無くなっていきます。
これがアポトーシスです。
日焼けをしたら皮がめくれます。
これもアポトーシスです。
生物にとって不要となった細胞は死んでいくのです。
でもそれは、その生物が生きるためです。
生きるために、アポトーシスが起こっているのです。
でもそのアポトーシスは、やがて私たちに「老・病・死」をもたらします。
私たちに死の遺伝子がプログラムされているがゆえに、「必ず死ねる」のだそうです。
そして、別のいのちに遺伝子を遺してゆく。
そのようにして、強い遺伝子、環境に対応できる遺伝子を遺し、生物は進化してきたのでしょう。
つまり、私たちの「死」は、他の誰かのいのちのためなのだと思うのです。
他のいのちのために生き、他のいのちを生かすために死んでゆく。
そのように、いのちは繋がってきたのではないでしょうか。
このいのちは、必ず誰かにつながっているのだと、思えるようになりました。
利他とは他者を利すること。
いのちは本来、他者を利する存在なのでしょう。
真宗大谷派 光明寺住職 小林尚樹