4月の「お寺の掲示板」と、住職の感想
2022.04.01
4月の掲示板のことば。
天の上にも 下にも
ただ我 ひとりとして 尊し
お釈迦さま
住職の感想です。
この言葉は、のちにブッダとなるゴータマ・シッダールタ(お釈迦さま)が、生まれてすぐに七歩歩き、天と地を指差し発した言葉と伝えられています。
いわゆる「天上天下 唯我独尊(てんじょうてんげ ゆいがどくそん)」という言葉です。
もちろん、生まれてすぐに7歩歩くことはできませんし、言葉を発することもできないでしょう。
これは、のちの者たちが「この世界にブッダが誕生した」ということの意味を、伝承として語り継いできたものと思われます。
ですから、7歩歩いたことにも意味があるし、言葉を発したことにも意味があるのです。
この言葉は、私は尊い存在なのだと、自分のいのちについて語っているのではありません。
生まれてすぐですから、能力や性別や、生まれた場所や、親や、肌の色など姿形に関係なく、生まれたいのちは無条件に、平等に尊いのだということを伝えているのでしょう。
私というこの一人のいのちが尊いということは、目の前のいのちも同じように尊いし、遠く離れた国に生きるいのちもみな等しく尊いのです。
そして「ただ」ということは、誰とも比べることのないいのちということを意味しています。
生まれたいのちは、誰とも比べられることのない、かけがえのない「ひとり」なのです。
お釈迦さまは、いのちの誕生は、ただそれだけで尊いのだと宣言されたのです。