藤井風さんの楽曲『帰ろう』で表現されている死生観
2021.01.31
お聴きになったことがありますでしょうか?
我が家では、まず息子がハマり、妻がハマり、その妻に絶対聴いた方がいいと勧められて聴きました。
いいんですよ、詩が。
声もいいんですけどね。
特に『帰ろう』ですね。
これは、ミュージックビデオを歌詞付き(字幕付き)で観てほしい。
大きな一本道を、さまざまな人生を生きている人たちが歩いています。
歌詞に合わせて観ていると、人生の終わりに向かっているような・・・。
持っているものを手放して、帰ろうと、歌います。
いのちを終える者は、帰っていくのだと。
そこだけでも、浄土真宗っぽいなあと思って聴いていたのですが・・・。
・・・でも、いちばん最後の歌詞を聞いてハッとします。
「今日から、どう生きていこう」と言われているのです。
死にゆく者の歌かと思っていたのですが、違ったのです。
「生きる」歌だったのですね。
「帰ろう」という方向性を持った「生」です。
見事に、藤井さんの死生観が表れているなあと思います。
私たち真宗門徒は、いのち終えることを「還浄(げんじょう)」と言います。
浄土へ還(かえ)るということです。
ご縁をいただいて人間として生まれてきて、縁が尽きれば浄土へ還っていくのだと。
親鸞聖人が大切にされた中国は唐代の善導という方の言葉に、
帰去来(いざいなん)、魔郷(まきょう)には停(とど)まるべからず。
という言葉があります。
さあ帰ろう、迷いの世界にとどまってまならない、という意味になります。
私たちは、帰っていくのです。
帰るという方向性を持ったいのちを生きて往くのです。
大切な教えを、藤井風さんに確かめていただいたような気がいたしました。
このことをYouTubeでお話ししています。
今年は、死生観にこだわってみたいと思わせていただきました。