3月の掲示板のことばと、住職の感想です。
2020.03.01
まずは、掲示板のことば。
死が見えなくなると
生も見えなくなる
おそらく皆さんは、「死」ということは非日常的な出来事であって、できることなら私たちの日常生活からは遠ざけておきたいし、見ないようにしたいと思っておられるのではないでしょうか? 分かります…僕もそうです。
多くの方が病院で亡くなるようになって、家族みんなで看取るということが少なくなっていると聞きます。大切なお身内がお亡くなりになった時にも、ご遺体が自宅へ帰ることなく、葬儀社にお預かりいただくご葬家もいらっしゃいますし、ご遺体に触れることを遠慮される方もいらっしゃいます。
確かに「死」は、怖くて、悲しくて、寂しくて、もしかしたら苦しくて、痛みを伴うかもしれませんから、自分のこととは考えたくありません。でも、生まれたからには、「死」は100%やってきます。99%ということはありません。その100%やってくる「死」を見ないようにしても、不安は残りますし、安心して生きることもできないのではないでしょうか。「死」を避けていては、この私のいのちを本当に生ききることはできないのです。
大切な方の「死」に直面するとき、「死」という事実を通して仏の教えを聞き、私自身のいのちを生きることを教えられるのです。しっかりと「死」に向き合うことにより、この私の「生」がはっきりと見えてくるのではないでしょうか。