2月の「お寺の掲示板」と住職の感想
2022.02.05
2月の掲示板のことば。
ほんとうに 生きたい
以下、住職の感想です。
この言葉は、僕が23歳の時に学んだ大谷専修学院で出会った中川皓三郎という先生がよくおっしゃっていた言葉です。
その先生ご自身も大谷専修学院で学ばれたお一人ですが、先生がその学院を訪ねたきっかけが、この「ほんとうに生きたい」ということだったと教えていただきました。
思うように生きることができないご自身の内側からほとばしる願いだったのではないかと思います。
今の人生は「ほんとう」ではないと。
縁により生まれたこのいのち、「ほんとうに生きたい」のだと。
僕たちは、思い通りにならないいのちを生きています。
だからと言って、この思い通りにならないいのちは「ほんとう」ではなくて、きっといつか「ほんとう」のいのちを生きる時がやってくる、ということではないのだと思います。
「ほんとう」は、どこかにあるのではなく、この「わたし」という場所以外に「ほんとう」は無いのです。
だから、「ほんとうに生きる」ということは、思い通りにならない人生は「ほんとう」ではないと受け止めるのではなくて、悩みもあるし、不安いっぱいなこの人生を引き受けて生きてゆくことなのではないでしょうか。
僕にとって「ほんとうに生きたい」ということは、今のこの私を丸ごと認めて生きて往きたいという願いなのだと思っています。